11/03/2012

映画評:「魔女の宅急便」(スタジオジブリ)

予告通り、魔女の宅急便を見たよ。
バンコクではDVDが300円で買えるのです。

魔女の宅急便は昔見た、と思っていたけど、ぜんぜんストーリー覚えてなかった。新鮮な思いで見ました。

ゆーみんの主題歌が、なんかすごいセレクトだな、と思っていたけど、あの曲「ルージュの伝言」が、主人公の女の子キキが大事にしているラジオから鳴るんですね。あのシーンははっとしました。うきうき感が伝わってきます。

ずばり、この映画は、僕のなかでは、仕事をする、というテーマの映画ですね。
飛ぶこと以外に何のとりえもないと自分で思っているキキが、見知らぬ街でひとり、どう仕事をはじめ、生きてゆくのか。13歳です。これは、社会に出て行く誰もが経験する気持ちなんだと思います。

そして、ぼくの長年の疑問がひとつ答られたような気持ちにもなりました。
それは仕事とは一体なんなのか?という疑問です。

キキは、13歳のある満月の夜、魔女の修行のために家を出て見知らぬ街で暮らすことになりました。
キキは、家族や友人に見送られて夜を空をホウキに乗って飛び立っていきます。

途中、ひとりの魔女の女の子に出会います。彼女も魔女の修行をしているという。いわば少し先輩です。そして、彼女はキキに尋ねます。「あなたは何ができるの?」と。その先輩魔女は、占いができるそうです。近頃は恋占いもやるのだそうです。占いを仕事としてその街で生きているということですね。そう魔女の修行とは、一人で見知らぬ街へおもむき、自分の力で生きてみる。なにか仕事をしてみるということでしょう。
そして「あなたは何ができるの?」と聞かれてキキは少しうろたえます。とくに何も得意なことがないからです。いろいろ考えてます、と言ってその場はお茶を濁します。

 ここまま解説してしまいそうなので一気にはしょっていきます。

キキは、「自分は飛ぶことしかできない。ほかにとりえがない」と悩みはじめます。でも、その飛ぶことが仕事になる、と思える出来事があります。パン屋のお客の忘れものを、主人の代わりにお届けしてあげたのです。人が歩けば30分はかかるであろう道のりをホウキに乗って3分でいける。お届けしてあげられる。そのことに気づいたキキは、すぐにこう言います。「電話をひかなくっちゃ」

いいですね、すぐに宅配便を始める気になっているのです。このフットワークがいいですね。
そしてまあ紆余曲折、初恋、冒険活劇などありながら、魔女の宅配便として街のみんなに受け入れられていくことになります。仕事をはじめたのです。人の役に立ち始め、そのことで生活の糧を得るようになったわけです。

あーこれが仕事の起源か、とひざを打ちました。
大きな街には様々な人がいて、様々な営みをしています。様々なニーズが生まれる。そのどれかを受け持つ。自分の得意なことで人の役にたつ。喜ばれる。それが仕事の起源なわけです。

パン屋やパンを焼く才能が、画家は絵を描く才能が、魔女には空を飛ぶという才能がそなわっている、誰しもなにかしらの才能が備わっている。劇中そのようなことも語られます。


ぼくは以前、農業こそが飯を食うための仕事なんじゃないか、と書きましたが、人の営みはもっと複雑です。いろいろな営みがあるのです。仕事は常に、新しく発生しつづけたっていいはずです。人の営みも新しくなっていくのだから。だから、まあ、なんでしょう、何かやってみればいい、ということぐらいしかない(笑)教訓が。

飛ぶことしかできないキキは飛ぶことで仕事をはじめました。






0 件のコメント: