12/16/2011

初めて順位がついたときのこと

お受験シリーズですw

思い出しが止まりません。ここに書いているのは単に覚えているというだけではなく、なにか違和感とともに覚えている記憶たちなのです。

あれは中学1年生の最初の中間試験が終わったときのことでした。6月くらい?でしょうか。ぼくたちはまだついこないだまで野原を駆け回る小学生であり、まだ学生服もさまにならない12歳でした。

で、中間テストが終わって数日がたったとき、生まれて初めての個人面談が始まりました。一人ずつ廊下に呼び出されて先生と1対1で面談するのです。話題は中間テストのことでしょう。
名簿順に呼び出されるでずいぶん早い順番で呼ばれたはずです。ぼくはドキドキしながら廊下で待つ先生のところに行きました。

そこで、どうだ調子は的な雑談があったあと、それでは、という感じで中間テストの順位が伝えられたのです。君はクラスで○番だったよ。と。
衝撃的でした。順位は悪くなかったのです。わりと上位のいい方でした。しかし、何がショックかというと、クラスに順位がついたというその事実そのものにです。
その瞬間のことをぼくはよーく覚えています。とてもとても覚えています。なぜならやはり、ぼくがその時に感じた感情は「怒り」だったからです。
「てめーら何勝手に順位つけてんだ」
ほんとにショックだったんです。なんで順位をつける必要がある?そしてそれを伝える必要がある?
いや、いまちがうなと思いました。もっとよく思い出してきました。
順位をつけられたことにではなく、順位を伝えられたことに怒りを覚えたのでした。
正直なぜだかはわかりません。
ただ、「順位なんて知りたくなかった」そう強く思ったのを覚えています。それは怒りとも言えるし、悲しみとも言える感覚だったように思います。知りたくなった。

先生は、いい順位だよ、がんばったね、的なことをしきりに言っていましたが、ぼくの頭の中はパニックでした。これをどう扱ったらいいかわからなかったのです。

そして、先生は「最後に何か相談ごとでもあるかな?」と聞いてきました。
ぼくは「やってもやっても力がつかないんです」と言いました。
先生は「おやそうかい?この成績なら十分だと思うけど。でも自分で自覚あるならなおさら大丈夫だよ」と言いました。
ぼくは、「いや、ちがうんです。勉強ではなく、物理的に腕の筋肉がつかないんです。毎日部活で腕立てしてるのに、ぼくだけ力がついていかないんです。さぼってるわけではないのに」と説明しました。
先生は、苦笑して、そっか、まあそれはがんばるしかないないね、的な感じでお茶を濁して、じゃあ次の人呼んできて、と言いました。

これがぼくの初個人面談の顛末です。

ぼくは覚えているのです。あの、はじめて自分の順位を聞いたときの感想は、喜びでも落胆でもなく、怒りでした。なんでそんなこと言うの?なんで順位なんかぼくに教えるの?


いま思えば、あれはおかしいんじゃないでしょうか。
百歩ゆずって成績で順位がつくのはしかたがない。点数がつくわけだから順位も自動的についてしまいます。でもそれを本人に伝える必要は果たしてあるのでしょうか。しかもこっそりと本人だけに。

つまりこういうことです。あの個人面談が終わったあとの教室は、自分の順位を秘密裏に胸に秘め、誰にも言っちゃいけないな的な空気のなかで、あいつはおれより上だったのだろうか下だったのだろうか、と疑心暗鬼を張り巡らせているのです。生徒40人全員が、心の中でああでもないこうでもない、と自分につけられた順位に一喜一憂していたはずです。

あたかもそれは大切な秘密のように、そっと教えられる自分のクラスでの順位。
あなたは○番でした。でもみんなには内緒でね。そんな空気です。

それはいったいどういうことなのでしょうか。
そして、そのときから、クラスは順位を競う場になるのですが、それでも自分の順位はいつでもこっそりと伝えられるのです。こっそりはそれは成績の悪い子への配慮なのかもしれません。ですが、そのシステムそのものがどこかいびつなものを感じる。それをさも当たり前のようにやってのける担任の先生を、ぼくはたぶんこころのすごく奥の方で、小さく軽蔑したような気がします。

1 件のコメント:

hatomaria さんのコメント...

この話は私の内側にも火をつけました。
まったく同感だし、同じ景色がよみがえりました。
中学校からストレスが急に多くなった気がします。