12/29/2011

アラーの神とご縁ができる

人生ではじめて、アラーの神とご縁ができました。

先週知り合ったインドネシア人のY君とお酒を飲んできました。
Y君は、日本在住12年のジャワ人で、日本に日本人の奥さんと息子がいるそうで。

そのY君、いまは里帰り的にインドネシアに来ており、バリにも寄ったということなのですが、
日本を発つときにアラーの神に祈ったそうです。「どうか日本人と会わせてください」

でもインドネシアに来て以降、なかなか日本人と知り合いになれなかったそうです。
で、先週レゲエクラブでぼくに会ったときに、神様が会わせてくれた!と喜んだそう。

それで、先日、Y君がバリでやっているお店にいってお酒を飲みかわしてきました。
Y君は日本語が堪能です。どれくらい堪能かというと、日本語で
「男ならやっぱり天下をとりたいじゃないですか」とか、
「ぼくも日本で命がけでやってるんですよ。そういう覚悟して海渡ってきたんですから」
などと言うのだ。なんか漢(おとこ)なのだ。

で、Y君、酒が入るとはじけるように日本に渡ってからいままでのいろいろあった出来事を話し始めた。
ずいぶん苦労したようである。

なるほど〜と言って聞いていると、ごめんなさいね、ぼくの話ばっかりで、でも日本人に聞いてもらいたかったんですよ。と言った。
爆発寸前のあれやこれやが頭に溜まっていたのだ、と。

どうして日本人に聞いてもらいたかったかというと、
インドネシア人に話しても、ああそうなんだ、と言うだけで、誰も自分の大変さを理解してくれない。
ともすれば、とはいえ日本で出稼ぎして金かせでるんでしょ?という目線でしか見てもらえない。
だから日本人に聞いてもらいたかった、と。

だから、聞きました。
しかも、これはアラーの神のおぼしめしで出会わされているようなので、ぼくもおろそかにできません。夜中の1時までとことん語り合いました。

Y君、どうやら満足したようで、ありがとう、うれしいですよ、と何度もお礼をいい、何かあったら言ってください、お助けしますよ、という心強い言葉をくれて、帰途についたのでした。


そして後日、思ったのですが、
以前、バリ人は悩んでいなさそうなので、ぼくが話をきく意味はなさそうだ、と書いたのですが、
日本在住、日本人で働き、日本人の奥さんがいるY君の場合は、日本人に話を聞くのと大差なかったです。みんな悩んでいるんだな、といつものように思うだけです。

そしてこう思いました、そうかY君は知らなくてもいいことを知ってしまった人なんだ、と。
ジャワ島では家族はみんな農業をしていたとのこと。
もし、日本人と結婚し、海を渡らなければ、ジャワで農民として家族親戚に囲まれて平和に暮らしていったのかもしれません。何の因果か、日本に住み、日本でで働くことになり、ゼロから日本語を覚えて日本文化にとけ込もうと努力した。日本に息子もできてしまった。でもやはり心落ち着くのはインドネシア。両方の文化に足をかけてしまったインドネシア生まれの男性30ウン歳。19歳で海を渡った。

世の中でいったいどれほどの人が彼の心情を共感してあげられるのでしょうか。
ぼくは話は聞きましたが、共感まではできていないでしょう。彼の苦悩は正直わかりません。
日本人に会わせてください、と神に祈った男、孤独を知っている男です。

そして、こう思いました。
このような、知らなくてもいいことを知ってしまった人のために、ぼくは書くのだ、と。
ちょっとかっこつけちゃいましたが、ほんとにふと思ったので書いちゃいます。

なんの因果か、何もなければ平和に生きていけたかもしれないところが、状況の巡り合わせのあれこれのせいで、知らなくてもいいことを知ってしまった、誰もが共感してくれるわけではない状況に身を置いてしまった、そんな人ですね。おっと、そうかくとおおげさに聞こえますね。そこまでの覚悟はぼくにはありません。本格的に特殊な状況に身を置いた人はぼくには手に負えません。
だから、少し、少しみんなからズレてしまった人。そういう人に向けてぼくはこのブログを書いているのです。

ということにしておきましょう。今日のところは。

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