5/09/2012

経済格差って?くらくら

経済格差にくらくらしますね。バリ島はそれでもアジアでは物価は高い方で、タイやベトナムなんかに比べたらそんなに激安感はない。でも、日本との経済格差はばっちりある。ぼくぼくは日夜どぎまぎしている。

たとえば、こんな会話があった。
ジャワ島からバリに出稼ぎにきていたインドネシア人が、ジャワに帰るという。バリで仕事をしようと思ったが、うまくいかなかったようだ。また元の自動車修理工に戻るつもりだという。
おれが、そうか〜、もう帰っちゃうか、それは残念だね、的な言葉をかけていると、もう一人のインドネシア人がやってきておれにこういった。「おまえが雇ってあげられないのか」と。

おれは、もちろん速攻で否定した。むりむりむりむり、そんなおれひとりでもサバイバルなのに、誰かを雇うなんて、むりむりに決まってんじゃん。と苦笑いとヘツライでへらへらしながら答えた。
でも、そのインドネシア君は笑っていない。そして「無理なはずはない、日本人だからいっぱい稼いでいるはずだ」と言う。完全に真顔だった。おれは絶句してことばがでなくなってしまった。

たしかに。。たぶん雇えないことはない。ちなみに、後で聞いてみたところ、ジャワ島で自動車修理は月収が約9千円だという。9千円。雇えないことはない。
彼がおれの本当の心の友で、ぜったいバリに引き止めたいと思ったら、おれの手伝いをしてくれ、月に2万円払おう、と言えないことはない。言えない事は決してないのだ。だからぼくは黙るしかなかった。

これが経済格差というものか。。彼がとりわけ無能なわけはない。それがジャワ島での相場なのだ。
他にも、ジャワ島で外資系大企業に勤めているというエリートサラリーマンにも会った。インドネシア人だ。月収が4万円らしい。それは、ジャワ島では結構いい給料に入るのだ。話してみると、なるほど、頭がいい。英語もぺらぺら、日本のこともよく知っている。たぶん日本にいたら、エリート街道を普通に進んでいく人材だろう。それが20代後半で、月収4万円。これが経済格差。
もちろん、そのぶんインドネシアは物価も安い。4万円でアパートも借りてご飯も食べる事ができるはずだ。しかし、国際線の飛行機などおいそれとはのれない。おれがいろんな国を旅行したと言ってたら、じっと前を見つめていた。たぶん、自分も行けたらいいのに、と悔しい気持ちになったのだろう。君と俺とで何が違う?もしかすると、この日本人よりおれのほうが優秀なんじゃないか?そう思ってもおかしくはないし、事実そうかもしれない。それでも、国籍が違うというだけで、この可処分所得の歴然とした差が横たわる。

おれは経済格差を利用してのんびりさせてもらっている部類に入る訳で、そんなおれからみても、これはどうにもおかしい。システムとしておかしい。為替ってなんか詐欺の匂いがするぜ。

おれなんかが、日本円の札ビラもってバリで金持ちやってちゃ本当はいけないと思う。人間界のシステムとして、それは良いシステムではないと思う。でも、おれはそれができるのを知ってしまっているから、それを公使し、それを享受している。欲のためにだ。

なんとなく、先進国の人間は、日本の働き手は優秀で、経済格差のぶんだけアジアの働き手より優秀だ、なんて思ってたら大間違い。インドネシアの頭がいい子たちは普通に頭がいいよ。英語もぺらぺらだよ。ただ、国をまたいだ労働許可がとりにくい、という一点によって既得権益化しているようにも見える。我々だ。いやさ、そういう国づくりを先代、先先代から連綿と受け継いでやってきた、日本人集合としての積み上げがあるのだ、と言う事はできるだろう。その主張は正当でもあるだろう。

でもね、彼らの優秀さは日本人と別に遜色ない。でも5倍の所得格差。金融システムはつながってるから、その格差はきちんと格差として機能するのだ。つまり、おれは日本円もってきて、インドネシアで使えるのだ。彼らの一ヶ月の給料分をホテル1泊+ちょっと贅沢ディナーで消費することだってできるのだ。想像してみてくれ、たとえば新進気鋭の中国の金持ちが日本にやってきて、100万円単位でぼこぼこ買い物して、キャバクラでキャバ嬢達に30万円くらいのチップをがんがんはずんでいたら、どういう気持ちになるだろうか。そして、ちなみに月収は?と聞くと、一千万円くらいかな、とさらっと答えたら。そして、そんな若造どもが大挙して訪れたらどうだろうか。

もうやってられなくなるか、なんとかしてあの金をかすめとれないかって画策することだろう。

そういうのをぼくらは体験していない。ぼくらの世代以下の日本人は。経済大国以降の日本人はね。

かといって、別になんらかの結論や反省を出そうというわけじゃないけど、とにかくそうなっていて、そうなっている物同士が出会ったり、だましだまされたり、友達になったり、嫉妬したり、バカにしたり、恋愛したり、しているのだ。

ただ、それだけを言いたかったのだ。

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