3/08/2012

あってはならないこと

なんだかよくわからない記憶シリーズ

かつて、理想のお嫁さん、結婚したい女性タレントナンバーワンとして王座に君臨していたのは「東ちづる」だ。今の若い人にはわからないかもしれないね。まあ、そういうさわやかな美人がいた。たしか何年にもわたって、結婚したいタレントの座をキープしており、クイズ番組などで輝くような笑顔をキラキラと見せていた。

ところが、あるときふっとTVに出なくなったと思ったら、しばらくして手記が出た。たしか、記憶がたしかなら、子ども時代のトラウマかなんかで悩んで、まあ精神を若干病んでしまったらしいのだ。もちろん、その後に復帰していたから何らかの回復はみせたのだろう。しかし、その後は、理想の結婚相手として持ち上げられなくなったように思う。
ぼくはその手記を本屋で見かけたとき、びっくりした。なにせ、あの幸せの可能性を一身に集めたかのような、万人の憧れである東ちづるが、精神を病んだなどと告白しているのだ。そんなばかなことが。そう思えばぼくは若かった。まだ学生だったと思う。そして、世間がそれをそれほど騒いでいないのが不思議だった。みんな知らないのかな、まさかあの東ちづるが、こんなことになってるなんて!

今思えば、大人たちはみんな、東ちづるだってそんなことくらいあるよ、同じ人間じゃないか、ってわかっていたのだと思う。だから騒がなかった。いくら世間の憧れを凝縮したような美人タレントだって、そりゃあ一皮むけばいろいろあるわな、人間なんだから。でも、当時のぼくにはまだそれがわかってなくて、ひたすらびっくりしていた。天真爛漫に生まれてからずっと生きてきた人だと思い込んでいたのだ。

でも別の違和感も覚えていた。なんでみんな、話題にしないんだろう?というものだ。東ちづるがTVに出るたびに、いいなあ、美人だなあ、気だてがよさそうだな〜、きっといい嫁さんになるなあ、とうるさいくらいに言っていた大人達(たぶん親かな?)が、何も言わなくなっていた。ノーコメントなのだ。

東ちづるが過去のトラウマに苦しむなんて、あってはならないことだったのだ。だから人々は黙殺したのだ。ぼくは後にそう解釈した。(ちょっと話が大げさになってきたね、すみません)

ぼくはテレビの本質をかいま見た気がしたのだ。芸能界の本質と言ってもいいかもしれないし、人々が芸能界に求める本質といってもいいのかもしれないが、ああ、こういうことか、と思ったのだ。

あってはならないことは、さっさと退場しなければならないのだ。テレビからは。
ぼくたちと同じ地平にある日常なんて、テレビの中に見たくはないのだ。「人間」が映ってる必要なんてないのだ。

こうしたことは、もう言い古されたテレビ批判なのかもしれない。
でも、テレビに限らず、あってはならないことが、ひっそりと表舞台から退場していくのを、いくつか見た。みんながっかりしたくないのだ。自分と同じものなんて見たくないのだ。嫉妬してもいい、憧れさせられてもいい、なにか自分の中にある間違いが解消されたケースの人間を見ていたいのだ。

ふーー。疲れた。重い記事が続く。

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