先日、こんなことがあった。
最近よく手伝いにいっているエコファーム「natural」でのこと。その日は土のかたまりをバケツの中にいれる作業をしていた。隅っこに固まっている土のかたまりを、シャベルで崩してバケツにいれるのだ。それを別の場所に運んでいくためだ。
で、ぼくが土のかたまりを崩していると、遊びに来ていたこどもたちがワーーと寄ってきて、ぼくも手伝うよ!と言ってくれた。1歳から10歳くらいまでの4人のこどもたちだ。とってもかわいい。よし、じゃあ一緒に土をバケツに入れてくれ!ということでスコップを渡した。
そんな中でのひとこまを今から思い出す。
ぼくの右隣で、3歳くらいの女の子がしゃがみこんで土をたたいていた。バケツにいれる土を崩してくれているのだ。そして、ふと僕を見上げて「きょうはうみにいかないのかな?」と聞いてきた。え??なになに??突然ふられてとまどう。なになに?と言うと、もう一度言ってくれた。「きょうは海へいかないの?」
んーよくはわからないが、想像するに、今日は海へ行こうという話になっていたのかもしれない。その子の家族の間では。つまり、お父さんやお母さんが朝にそう言っていたのかもしれない。でもなんか畑にずっといてちっとも海にいく気配がない。それで、ふと疑問に思ってぼくに聞いてみたのかもしれない。なぜ僕に聞くのだ?と思うけれども、もしかすると彼女の中では、僕も大人だから、大人たちの予定を知っているだろうと思っているのかもしれない。僕は「あれ?今日は海に行く予定なのかな?この後に行くのかな?」などと言ってとりあえずお茶を濁しておく。
しかし、かわいい。おれに聞いてくるところがかわいい。なんかおれが忘れ去っている世界の見方がそこにはある気がする。大人はなんでも知っている、なのかもしれないし、みんな友達、なのかもしれないが、なにか今のぼくにはわからない感覚をこの3歳の子は行きている。
しかし、書きたかったのはこのことではない。
小一時間たって、その子の家族がそろそろ帰ります、ということになった。お母さんが呼びにきて、あんたたちほら帰るよ!ということになる。
こどもたちは車に乗り込んでいった。ぼくは、その3歳の子の帰りぎわに、「◎◎ちゃん、、ありがとうね」と笑顔で言ってみた。とりあえず、よく手伝ってくれからお礼を言っておこうとおもったのだ。その子は無表情でふりかえると、いったいなにを言っているのだ?というようなポカンとした顔をして、また振り返って行ってしまった。
あれ?今のはなんだ?ぼくはちょっとたじろいた。笑顔で「うん、ばいばい!」くらいの反応を期待していたのだ。ものすごく不思議そうな顔で一瞥されてしまった。それが別れのあいさつとなった。
いったいこれはなんなんだろうか。ぼくは何かを忘れてしまったのだろうか。そのとき、ぼくの中に起きた気持ちは、「あ、なにか間違えたんだな」ということだった。そう、なにかそのときぼくは「◎◎ちゃん、ありがとね」以外のことばをかけるべきだったのだ。なぜかそんな気がした。でも、それが何かわからなかったし、やはり手伝ってくれた子どもにお礼をいっておかねばならなかったはずだ。だから、わざわざうろ覚えだった名前をバチッと思い出して名前付きで呼んだのだ。それでも何かを間違えてしまった。そんな印象だけが残った。
2 件のコメント:
なんかひとり
うんうん、
頷きながら読んでしまいました、、、
なんだか甘いのにちょっと苦いような気持ちがします
わかりますか!ぼくは一体なにを間違えたのでしょうか。。
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