2/22/2012

カブト虫を売る

今日も寝不足で起きた。睡眠時間5時間くらいかな。目が覚めてしまった。
昼から用事があるので、とりあえず起きてみることにする。
朝から眠いのは残念だ。出社などということもしなくていいにもかかわらず、充分眠ることができなかった。悔しい気持ちになる。

しかし、最近のモットーとして、寝不足でもとりあえず仕事する、というものができた。
まあ当たり前だけど、自宅で仕事をしていると、もう一眠りしてから万全の状態で仕事したほうがいいのでは、などと考えてしまうのだ。
でも、意外ともう一眠りがうまくいったためしはない。どうせ寝つけやしないのだ。
だから、コーヒーをがぶ飲みして強引に仕事を始めてしまうことにしている。とりあえず30分もてばいいのだ。
ところが、意外とこれが乗ってくるとできてしまうもので、今日も1時間半くらいは調子良く仕事ができた。予想外にはかどる。

そして、昼から引っ越し先候補のお部屋を見に行く。
いまよりオレ波に近くなる。
その道中、バイクにのりながら、あることを思い出していた。

それは、とある戦前生まれの女性の人が、早くに亡くしてしまった旦那様の思い出を語ったことばだ。
あの人は、本当に素敵な人でした。
わたくしは、何の心配もせずにあの人についていくことができました、と。
そのようなことを言っていた。
そして、戦後の混乱と貧困のさ中のことである。旦那様は仕事を無くしてしまったという。終戦直後の混乱期である。それでもごはんをたべなくちゃいけない。それでもその旦那様は、何も心配いらないといって、毎日どこかへ出かけていったそうである。そしてちゃんと生活出来るだけの最低限のお金は持って帰ってきたという。なにをしていたのか。ありとあらゆることだ。ときにはカブト虫を売り歩いていたこともあるという。でもどんなときでも旦那様を信頼して、何の心配もせずに暮らすことができたのよ、とその女性は語ってくれた。本当に素敵な人でした、と。

たぶんその旦那様は、当時、今のぼくより若かったはずだ。でも、そんなに頼りがいがあったのだ。
仕事がなければカブト虫を売ったっていい。そんな人だったのか、そんな時代だったのか、たくましくたのもしい限りである。

バイクを走らせながら、ぽつんと思った。おれもカブト虫を売れるような男になろう、と。
だってその人はやっぱかっこいいよね?かっこいいな、そんな男の人がひっそりと戦後に生きていたんだな。カブト虫うらないとね。世をはかなむ暇があったらカブト虫を売りにいこう。

なぜこんことを書いたか?それは、ぼくがこんなことを思う事は大変珍しいからである。
基本は世をはかなんでいるのが、おれだ。
でも今日は、少なくとも今日のお昼頃は、いつだってカブト虫を売ってやる、そういう人間でいよう、と思っていたのだ。少なくとも、10分くらいの間は。

いまは少し遠い記憶になりつつある。でもまだ、どっちなの?と言われたら、カブト虫、売るよ、って言うだろう。

おれがそんなことを思うなんてほんとに珍しいのだ。
人生の中で、そんな風に思ったことはトータルしても、30分間に満たないだろう。
素敵な旦那様になりたいのである。それはオレ的には、黙ってカブト虫を売る人のことである。
とりあえず今日のところは。残念ながら明日はわからない。それがおれだ。

ちょっとまてよ、世の旦那様にとってはそんなこと当たり前なのかもしれないね。とくに子どもがいたりなんかしたら。。なんか恥ずかし。でもまあ、それがおれだ。


これは近所のとっつあんが釣ってた魚。魚の名前はマヒマヒだって。

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